最近観たもののなかで一番感動したピナ・バウシュによる「10代のためのコンタクトホーフ」の場面写真。
ピナ・バウシュ先生が亡くなる前に取り組んでいた、自作の演目「コンタクトホーフ」を、一般人参加者で上演するというもの。愛をテーマにした演目で、ドイツに住むティーンたちが、学校の先生に勧められたりなんだりでわからないながらも“何か変わるのでは”という思いで参加。最初は戸惑いながらも、1年ほど毎週土曜日に集まって練習し、本番を迎えるまでを追ったドキュメンタリーです。
ただでさえ、意味不明と思われがちなピナの演目の、しかも男女のふれあいが多いこの演目を、多感なティーンがやるってんだから、それはそれは色々な葛藤があって。こないだ日本公演をした「私と踊って」の主演、ジョセフィン・アン・エンディコットが演技指導をしていくんだけど、よくある発狂系の感情を出すシーンでは、ティーンの子たちはやっぱり「できないわ」とか言ってみたり。でもだんだんとその子のペースに合わせてジョーさんとティーンたちが歩み寄って、信頼関係が築かれ、演者たちの顔つきも本気っぽくなっていく。後半ピナが見に来る日なんて、ダボついた服着たYoyo系のおとこの子とかもガッチリ緊張しちゃって。参加者の中にはサラエボ戦争で親戚を生きたまま焼き殺された子や、父をガス爆発で亡くした子、アラブ系移民の子などバックグラウンドも様々。そんな子たちが練習を重ねていくうち徐々に結束し、ピナによって出演日ごとメンバーが選ばれ、ドレスとスーツの衣装を選んで本番を迎えるんだけど、ただでさえ舞台演出がきれいなのに、その10代の子たちのはかなさが加えられたときの美しさったらなかった。
これNHKでやっていたんだけど、こないだ行った「私と踊って」と、ピナについてのドキュメンタリー、そしてこのコンタクトホーフのドキュメンタリーと3本一気に放送する4時間超の番組だった。とある夜の11時くらいに、民放のテレビでおもしろいものがなんもなくて、BSに変えてNHKをつけてみたら、うっかりやっていて、なんてすばらしいいんだNHK!って思いました。普段見ないBSをつけてこれに気づけた奇跡。
↓Trailerなら動いているのあった
ちなみに、この前にやった65歳以上の一般参加者によるコンタクトホーフのほうは動画に上がっているので貼っておきます。こちらもすばらしいね。
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