「この人はわかってるな」っていう人がたまにいる。
特に具体的に話をする訳じゃないんだけど、心得てるひと。わたしなんかはまだその入り口に立っただけなんで、そういう人はそのドアのあっち側に長いこといる人だと思うんだけど。
バリ島に来るときの飛行機の中でみた映画「I Origines」の監督で脚本も手がけたマイク・カヒルも"わかってる人"だと思った。映画のストーリーはざっくりこんな感じ。
目の光彩を研究している科学者が個性的な目をした女性に運命的に出会い惹かれていく。科学者の彼は証拠があるものしか信じないと言いながらも、彼女を通して輪廻天性や不思議な力があることを信じさせられる。目の光彩は2つとしてこの世に同じものがないと言われているほど千差万別。個性的な目をした彼女の死後、彼女とまったく同じ目をした少女がインドにいるとわかり....って話なんだけど。
グランドブタペストホテルやHerなどいろいろ他にも観たい映画があったんだけど英語しかなくて。面倒だから、日本語を選べた数少ない映画のなかから、すごく好きな俳優マイケル・ピットが主演なのでたまたまこれを観たわけ。
映画の中でマイケル・ピットと彼女、アストリット・ベルジュ=フリスベが運命的に再び出会った時、彼が「あの夜どうしてあんなことしたの?」って聞いたら、彼女が「私はあなたのことを前から知ってるって分かってた。あなたもそれを分かってたからそうしたの」って言ってた。
わたしにも心当たりがあった。同じような経験。
それは彼に出会ったときだった。
初めて彼を見た時の彼の「目」を私は憶えている感じがした。彼の目は色が薄くてちょっと個性的な目をしてる。彼のルックスも確かにタイプだけど、それだけでは説明がつかないくらい、何か別の意志が強く私を動かし、その場で私は彼に好意を伝えた。まったく臆する事なく。
そこから連絡を取り合って彼とソウルで再会して話した時、2時間もしないうちに彼が「僕たちずっと前から知り合いだったみたいだ」って言ってた。
それですぐ付き合う事になったんだけど。
このエピソードが映画の中のそのくだりに重なったわけ。
そう、いままでわたしもボンヤリとしか考えてなかったけど、初めて会ったときから私は彼の事を前から知ってて、彼も私のことを前から知ってるって知ってた。ということ。
映画の中で、初めてマイケル・ピットと彼女が出会った時、パーティで彼女が覆面をしてて。彼が彼女の目の写真を撮ったそれしかヒントがなかったんだけど、彼はどうしても彼女にもう一度会いたいと思っていた。とある日、彼は11というナンバーに引き寄せられて彼女が広告をしている看板にたどり着く。7/11のコンビニでの会計が11ドル11セント。その買い物をした日が11月11日。その後乗ったバスが11番。不思議な気分でバスに乗ったら、バスの中で盲導犬に吠えられてなんとなくバスを降りたら、彼女の目の看板にたどり着いた。
私が飛行機でこの映画を観たのが11月11日。たまたまかもしれないけど、なんだか不思議な気分だった。
たまたまその日にバリに行く飛行機に乗って、たまたまその映画を観ただけなんだけど。たまたまね。
実は彼とはちょっと前に友達に戻ったんだけど、どうせわたしはバリ島にタダでいけるから、彼と会っても会わなくてもいいからバリ島にひとりで行こうって思ってた。だから実はいまはホテルに1人でいるわけ。
そもそもバリに来たのも、友達がバリ島にタダで行ける文化交流生プログラムを教えてくれてて、ソウルでの生活が終ったらそれに参加しようと思ってた。そこに彼が登場して、メールでやりとりしている時に彼が冬場はバリに半年間行くって。あ、友達がいるんならバリに行くのがもっと楽しそうだから私も同じタイミングでバリ島にいくかな〜なんて考えてたら付き合う事になり。
彼は実家の家族の事情で半年間バリにいけないことになり、韓国のサーフタウンでの暮らしも諦めて実家で家族をサポートしながら新しい仕事を探してしばらく地元で暮らすことになって、現実的に私とも別れることを決意したみたいなんだけど、私もその話をきいてまぁ仕方ないよね、と思った。私もやりたいことあるし。
だけどバリにだけは1ヶ月間行くことにしたみたいで、いまどこか近くに彼もいる。私もバリに来た。ひとりでサーフィンでも始めようと思って。そんで行きの飛行機でその映画を観て、わたしは彼の事を前から知ってる人だったって確信したし、もっと凄いのは彼と結婚するかもな。と思った。頭おかしいかもしれないけど、そういう直感が降りてきた。別れてから2週間くらい彼と連絡をとってない状況だし、2ヶ月しか付き合ってなくてろくに話もしてないし彼の事全然知らないけど。バリではまぁ気が向いたら連絡するか、はたまたしなくてもいいかって感じで特に気にしてなかった。だけど、なんだかいろんなたまたまが重なって、会って、話す機会があれば、彼にそんなおかしな考えを話してみようと思う。
彼は普通に嘲笑うだけかもしれないし、そこそこクレイジーかもしくは"わかってる奴"だったらどうだかわからない。もしくは、連絡しなかったらまったく会わないまま何もなく、彼と一生会うこともないかもしれない。
いろんな不思議な力に動かされて最近は生きていると感じるけど、わたしを動かす大きな要因である"予感"をこれまで先にどこかに書いた事はなかったから、これはある意味実験だ。本当になにもないかもしれないし、なにかあるかもしれない。これはもはや私の意志でない、宇宙の仕組んだいたずらだ、ということだけ言っておこう。ただわたしも彼もいま、神々の宿る島バリにいる。不思議なことがあってもおかしくはなさそうだ。
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